おすすめ度 ★(5点中)
最近目にするようになった社畜もの。
社畜がホワイト企業行ったり、社畜が幽霊に動じなかったり、社畜が修羅の国に行ったり、いろんなバージョン出てますね。
リアル社会でストレス溜めている層がターゲットなんでしょうか?
私も以前、パワハラ上司に悩まされていた時期があったので見てみました。
途中までは「オネエが社畜を救うんだな。キャラ濃いな」という感じ。
リアルであるあるな悩みをファンタジーキャラがバッサリ切っていくんだろう。
そんな期待を込めて読んでました。
でもだんだん違和感が出てくるように……( ̄Д ̄;;
主人公の務める会社が言うほどブラックに見えなくなってきたんですよね。
理不尽な上司はいるけど、会社自体の福利厚生はしっかりしているような気がする。
男性社員の育休が普通に取れるくらいですし。
それって普通なんですかね?
私も今まで何度か転職してきましたけど、のんびりした財団法人でしか男性の育休見たことないですよ。
女性の育休でさえ取りづらい会社もあるのに、この会社実はホワイトなんじゃないの?
頑固な人事部長によるノー残業デー(強制)もこの部長個人の問題にしか見えないし。
納期が迫っている仕事があるのに強制退社させる謎。
オネエと因縁があるようだったけど、BLカップリングの不一致というくだらない理由を仕事に持ち込んでいるというオチ。
普通のドタバタオフィスギャグで良かったのではないでしょうか?
社畜設定の割にはブラックな環境に説得力がない。
主人公たちに社畜っぽいセリフを言わせているだけ。
ファンタジーオネエ部長の一言でみんな素直に納得し、大人しくなるという優しい世界。
現実の問題を解決するのは難しいと思います。
でもオネエ部長というファンタジー的存在がいるのだから、
会社の問題はとことんリアル、部長がバッサリ切る!
で良かったんではないでしょうか?
なんだか中途半端というか、舞台もキャラもファンタジー要素強くて、共感しづらいです。
私が読むのをやめたのは例の育休問題の話なのですが、
本人のいないところで愚痴ってた社員をばっさり切るというオチ。
心が冷たいと思われるかもしれませんが、実際こういう感情持つ人いると思いますよ。
口には出さないだけで、仕事の負担が増えるのは確かですし。
主人公サイドは怒ってましたけどね。
一人くらい「あの人達の気持ちもわかるけど」って迷うキャラがいても良かったのではないでしょうか。
主人公側は絶対正義、文句言うやつは悪! ってのもどうなの。
これはリアルでもあるし改善策が見つからない問題ですよね。
どうやって収めるのかと思いきや、子育てすごい、みんな協力しようで納得させたとのこと。
……これって本心では納得できてないんじゃないかな。
社会ではおめでたいこと、でも理不尽を感じる。
仕事の辛さでつい愚痴ってしまった。
そんな漏れた思いを正論でやり込める。
それって正しいやり方だったんでしょうか?
正直、私はこの愚痴ってる人たちに「実際はそう思うよね」って感情移入してしまったので、社会の正論を押し付けられた社畜達が可哀想だと思いましたよ。
ということで
社畜ではない人が見る分には「社畜ってこんなのなんだ~」ってなるのかもしれませんが、リアル社畜が読んだらため息が出そうな漫画、というのが私の感想です。
あと、ブラックな会社って優秀な社員からやめていく気がするので、この漫画に出てくるオネエのような優秀な社員が残っているのも謎ですね。
ファンタジーなら何でもありなのかもしれませんけど。