おひとりさまの日々

独身アラフォー女でも楽しく生きたい

『キャロル』パトリシア・ハイスミス原作のビアン映画

※本ページにはプロモーションが含まれています。

おすすめ度 ★★★(5点中)

 1952年のニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。優雅で気品に満ちた美しさを誇るも、謎めいたムードもある彼女に魅了されたテレーズ。彼女にクリスマスカードを送ったのを契機に、二人は会っては話をする仲になる。娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルと恋人からの求婚に思い悩むテレーズ。そんな中、彼女たちは旅行に出掛けるが……。

シネマトゥデイ

 

同性愛もの × 原作者パトリシア・ハイスミス

見るっきゃない。

 

パトリシア・ハイスミスについて

作者の代表作「太陽がいっぱい」の主人公はゲイではないかと言われています。

なんでも映画評論家の淀川長治さんが「ホモセクシャルの映画」と言ったとか。

私は映画未視聴で原作を読みました。

特に直接的な描写はなかったんですよね。

ただ男友達とその彼女への態度を見て、男友達への感情の方が強そうではありました。

でも三人組って一人あぶれたりするし、彼女への対抗心が出ても仕方ない。

三人組あるあるの微妙な関係なんじゃないかなと当時の私は思ってました。

読んだのはだいぶ前なので記憶もあやふやですが、タイトルを覚えている数少ない作品の一つです。

 

実は『キャロル』を見ようと思ったのは、同性愛の有名人や作品を紹介している動画を見たからなんです。

そこでパトリシア・ハイスミスが同性愛者だということを知り、びっくりしました。

びっくりしたと同時に嬉しかった。

好きな作者が私と同じセクシャルマイノリティだったなんて。

 

個人的にセクシャルマイノリティの人の小説は読んでいて安心感があります。

私が恋愛苦手なアセクシャルだからかもしれません。

恋愛の書き方が私でも受け入れやすい、理解しやすいんですよね。

性別以前に人間同士の関係を丁寧に書いているような気がするんです。

 

当たり前のように異性を好きになるのではない。

世間体とかお金、子供、将来の不安など、何かしら理由がある。

そういうのだと恋愛感情の湧かない私でも理解しやすいんですよね。

恋愛が当たりまえという前提で来られると??ってなります。

 

他にもすぐにデートを取り付けるのではなくて、相手が自分を受け入れてくれるか探っていく感じも好きです。

より個人を見て、気遣うやりとりに見えます。

 

女二人のキャラに萌える

キャロルは美人マダム。

既婚者で子供がいるが夫とは離婚する予定。

テレーズは素朴なデパート店員。

リードしたがりの彼氏に流されるまま結婚しそうだけど、このままで良いのかと思っている。

 

「マダムに萌えるってどういうことよ?」って感じですね。(笑)

でも、いろんな顔を持ってるんですよ。キャロルは。

娘を前にしたときの母親の顔。

テレーズを前にしたときの年上の余裕、恋する乙女の顔。

元カノに悩みを相談する時の子供のような顔。

普段は街中を品のいい服を着て颯爽と歩いている美人マダムなのに、ギャップがいいですね。

 

テレーズは最初主体性のない子だったんですよね。

なんとなくデパートで働いて、彼氏に告白されて結婚しそう。

最初はどういう子なのか、何がしたいのかがよくわからなかった。

でもキャロルとの出会いが彼女を変えたんですね。

好きだったカメラの道を志すことに。

やりたいことを決めてからの彼女は見た目も言動もはっきりしてきたように思います。

最後のレストランでの姿は成長を感じました。

 

同性同士で与え合う良い影響

私はボーイミーツガールならぬ、ガールミーツガールが好きです。

理由の一つに「同性とのやりとりで成長していく姿を見ることができる」というのがあります。

漫画だと『GIRL FRIENDS』『できそこないの姫君たち』、他にもたくさんあるはず。

明るい女の子からコミュニケーションやおしゃれを学んで開花する地味な女の子。

自己表現の開花ってほんと素敵。

異性に好かれるための画一的なファッションではない。

学んだことに自分の感性をミックスさせて、自分に合ったファッションを編み出していく感じ。

そういうところが面白いと思うんですよね。

この子はどんな風に花開くんだろうって、見ているこっちもワクワクします。

 

この前見た『テルマ&ルイーズ』はそのあたり残念でした。

同性同士で悪い影響を与えあい、最悪な方向へと向かってしまった。

同性同士が良い影響を与え合うドラマが見たかったんですよ~。

 

物足りないラスト

この映画で不満だったのは、

  • 主役二人が物分かりのいい大人すぎてパンチが薄いこと
  • ラストのあっけなさ

基本女性陣がみんな物分かりのいい落ち着いたタイプなんですよね。

キャロルもテレーズもキャロルの元カノも。

普段映画で騒がしいタイプやセクシー美女を見るたびにうんざりしてたのに、大人しすぎても物足りなさを感じてしまうんだなって、この映画見て初めて知りました。

落ち着いた女性はむしろ好きなんですけどね。

二人ともそういうタイプだと事件も起こらない。

いやイチャイチャしてたところを見られたのは事件だけど!

ここもちょっと謎。

なんで親権で揉めているときにセックスしちゃうかなあって思いました。

我慢できんのかと。

パニックもの、サスペンスものでイチャイチャしちゃう男女を見る時と同じような気分になりました。

 

最後に

雰囲気も役者の演技も良かったです。

ただキャロルもテレーズも思ったことをわーっと口に出すタイプではないので、二人が何を考えているのかわからない部分もありました。

ラストのテレーズの行動の謎とか、消化不良でもやっとする。

原作があるのでぜひ見てみたいですね。

二人の気持ちを知った上で映画を見たらもっと面白くなる気がします。