おすすめ度 ★(5点中)
ある日、ひっそりとした大邸宅で新聞王のケーンは「ばらのつぼみ」とつぶやきその生涯を終えた。
彼の生涯をまとめた記録映画のプロデューサーのロールストンは作品の試写を見て、どこか物足りない思いでいた。
「もっとケーンという人物に深く切り込んだ内容にしたい。彼は一体どんな男だったのか?」。
ケーンというほかに類を見ない人物の謎を解くヒントが、彼の遺した言葉「ばらのつぼみ」にあると確信をしたロールストンは、
記者のトンプソンにその秘密を解くように指示を下す。
トンプソンは、ケーンと近い関係にあった人々を訪ねていくのだが・・・。
物語の構成について学びたいと手に取った「SAVE THE CATの法則」。
こちらで「なぜやったのか?」ジャンルの一つとしてオススメされていた本作。
「市民ケーン」というシンプルながら謎めいたタイトル。
謎を解く系の映画なんて構成も凝ってそう。
そんな期待を抱いて視聴開始。
もう、すっごい眠い……(=_=;)
白黒の単調な画面に起伏の乏しいストーリー。
こんなに眠くなったのは久しぶり。
正直感想としては「何が言いたかったの?」って感じ。
それだけじゃなんなので、もうちょっと詳しく書いていきますね。
まず白黒だったことに驚きました。
タイトルは聞いたことあったんですが、こんなに昔の映画だったんですね。
色つきに慣れているせいか、絵面がすごく単調。
ただでさえ人数多いと人物の見分けつかないのに、白黒だと余計にわかりづらい。
そのくせBGMはファンファーレみたいでうるさい。
女性のキンキン声、男性の怒鳴り声が響いて、耳に痛い。
今までご都合主義なストーリーやグロ映像が苦痛だと思うことはありましたが、それ以前の問題ですね。
時代だから仕方ないんでしょうけど、どうにもストーリーに入り込みにくい。
でも同じく白黒の「サイコ」は引き込まれたんですよね。
見せ方が上手かったからかな。
まあ、この映画はケーンの謎を解くことがテーマですから!
そこに期待、と思ったんですが、結局、よくわからなかった……
「SAVE THE CATの法則」では暗く醜い何かが暴かれるって書いてあったのに。
そんなのあったかなあ?
「ばらのつぼみ」の正体はわかりましたけどね。
確かに構成は凝ってました。
昔の人からすると革新的だったんでしょうね。
謎めいた城門から始まって、「ばらのつぼみ」という謎の言葉、転がるスノーボール。
記者がいろんな人に話を聞いてケーンの人生、人となりがわかっていく。
謎を追う系の話ではよくある構成ですよね。
この作品が祖なのかな?
ただ、王道なのはいいんですけど、なぜか引き込まれないんですよね。
共感できる人がいないからかな?
ケーンが主人公、記者が進行役だと思うんですよ。
でもケーンは何考えているのかよくわからないし、記者は上司に言われて行動しているだけ。
感情移入できる人物がどこにもいない。
最後、記者はあっさり捜査を打ち切り。
最後の最後で「ばらのつぼみ」が幼い頃に遊んでいたソリであったことが判明するけど、誰にも知られずに、焼失。
救いもないですね。
誰もケーンのことがわからなかったってことですか。
栄華からの転落、寂しい最期。
可哀想だなあとは思うけど、ケーンに感情移入しづらいせいで涙も出ない。
心の中に波風ひとつ立ってない。
多分ラストの記者の言葉が重要なんだと思います。
彼はすべて手に入れ、そして失った。
だがそれは手に入らなかった。
たった一言で人の人生は語れないのさ。
バラのつぼみとは人生というジグソーのー
1ピースだ。
ばらのつぼみとはケーンが生涯得られなかったパズルのピース。
幼少期得られるはずだった親の愛情かな?
その象徴が子供の頃遊んでいたソリだったと。
確かに、人生頑張ればやり直せるというけれど、どうしても手に入らないものってあると思うんですよ。
幼少期の親の愛情もそうですよね。後々の人生にすごく影響する。
運の良い人は欠けた愛情を別の何かで補って生きていくんだろうけど、ケーンはそれができなかった。
彼を愛してくれる人はいたけど、求めていたものは得られなかった。
ケーンは頑固そうだからなあ。妥協できなかったのかも。
だからこそ幼少期のことをもっと知りたかったんですよ~!
子供のケーンがソリで遊んでいるのは出てたけど、それだけ。
親との関係、育て親との関係。どういう子供だったか。
そういうものがごっそり抜けているから、なんでこんな融通の効かない性格になったのかわからない。
それに無償の愛情がほしいのなら母親がわりになってくれそうな女性を選んだらよかったんじゃないですかね。
ケーンの選んだ女性ってそういうタイプではないような。
一人目は大統領の姪。
プライド高そう、と思ったらわりと普通。
仕事仕事の夫に不満があるようで、夫婦のやりとりを大事にするタイプかな?
子供も大事にしているようだし、よくある母親像といった感じ。
でもケーンはだんだん距離を置くように。
二人目の奥さんは貧しいレコード店員。
この人のやりたいこともよくわからなかったんですよね。
歌手になりたかったのか、どうなのか。
最終的に歌いたくないってなるけど、最初の方は楽しそうに歌ってるし。
ケーンも「歌うんだ!」とか言って、なんでそこまで歌わせたいのかわからない。
うーん、やっぱり登場人物の考えがよくわからないな……
結局この映画がなんで評価されているのか、わからなくて検索しました。
批評サイトでも賛否両論といった感じ。
どうやら構成や映像技術などが革新的だったらしいです。
確かに構成を学びたくて見ていたんですけど、それ以上にストーリーの面白さって大事だと思うんですよね。
私には響かない映画でした。